鎮守府は軍施設ではあるが、その運営の大半は提督の裁量に任されている。
 そしてこの鎮守府は街の人々と積極的に交流を行っており、定期的に交流会なんかもやっている。
 交流会は鎮守府で行われ、艦娘と街の人が笑顔で和やかに交流してるわけだが――
 中には、そういうのに馴染めない艦娘だっている。


「静かだなぁ……」
 一人、港で海を眺めていた。


 街の外れにある、もう使われることのなくなった港。
 確かに騒がしくはないけど、ちょっとさすがに寂しすぎるなと思いはじめたころ。


「誰!?」


 背後で聞こえた足音に、ついそんな風に厳しい声で問いかけたところ。


「な、なんだよ!」


 一人の少年が、驚きのあまり尻餅をついていた。


「ごめんなさい、驚かせちゃったみたいで」


 さすがに悪いことをしてしまったかと思った川内は、微笑みながら謝罪の言葉をかけた後に。


「うっせぇブス」
「ていやっ!」


 罵倒されたので即座にチョップを叩き込んだ。
 チョップから始まる、川内と少年の物語。


「……マサルだよ」
「え?」
「な、なんだよ! そっちの名前だけ聞いてこっちは教えないのは不公平だから、わざわざ教えてやったんだろ!」
「あ、うんうん。了解」


 そんな二人の出会いは、何をもたらすのか――


「ほら、また変な顔」
「よしマサル、その工具を下に置け。川内お姉ちゃんが年上を敬う心というのを叩き込んであげよう」
「誰がお姉ちゃんだよ、気持ち悪い」
「なにさ。照れないでお姉ちゃんって呼んでくれてもいいんだぞ?」
「……俺が本当にそう呼んだらどう思う?」
「すっごい気持ち悪い」
「ぶん殴るぞ」
「ふふん、果たして当たるかな?」


 きっと何かはもたらされると思う。


「おねショタが実在するってわかったんだから、これはもう応援するしかないじゃない」
「おね……ショタ?」
「うん、あんたはわからなくてもいいから。とにかくそのマサルくんと仲良くね」
「仲良くって、うん、まあ、わかったけど」


 少なくとも、喜んでる人はいるみたいだし。



 文章:右近  表紙:ちはる(twitter

 タイトル:川内(おね)と少年(ショタ)
 サイズ:A5二段組 本文44ページ
 頒布予定価格:500円

 本文サンプル:(pixiv

 例によって艦これ本です。
 前回の大井っち本で「あれ、艦娘と提督以外の絡みって面白いんじゃね?」とか思いついた結果、今回の新刊はおねショタになりました。趣味です。
 でも読むの好きだけど書くのは初めてなので、ちゃんとおねショタれているか若干不安だったり。
 個人的に今回はいつもとは多少違う感じに書けた気もするので、ものは試しと読んでみてくれると超嬉しい。
 あと一応今回の舞台は前回のレズじゃない大井っちがいる鎮守府ですが、前回のメンツは出てこないっていうか提督すら出番がないので気にしなくていいと思います。多分。



 そんなわけで、12/30(水)東L-37b「裸Yシャツ友の会」までお越し下さい。
 大井っち本は諸事情(印刷費)により増刷できてないので既刊もありませんが、委託はあるかもしれないので是非。
 一通り回ったあとにのんびり来てもらっても大丈夫だと思うんで。
 あと12/31(木)西め-05a「硝子の月」東ル-36b「黒色彗星帝国」で委託させて貰う予定です。
 多分俺も売り子してます。

 委託に関しても、例によってイベント終わっても在庫残ってたらお願いしてみるよとかいういつも通りのスタンスでひとつ。

 ※2016.02.01追記:
   告知遅れましたが、とらのあなさんで書店委託始まってます。
   こちらからどうぞ→
   思わず手元の在庫全部納入しちゃったので、なんとかひとつ。

C89オシナガキカッコカリ by 右近 on pixiv


 あと今回、雨漏り宿さん主催の提督LOVE大井っち合同誌『提督も愛してます♡』にいつも通りのアレなのを寄稿させていただきました。
 グッズセットなんかもあるみたいなので、当日来る方はそちらも併せてどうぞ。
 告知サイトはこちら



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