聖なる夜に

「ふぅー」
去年もそうだがつぐみ寮恒例クリスマスパーティーはありえないぐらい盛り上がる。(一番騒いでいたのは俺だが)この日は雅文や紀子、茜まで来ているためか去年の倍はうるさい。(ほぼ茜のせいだろうが)まーそのおかげでみんなにばれずにこうやってベランダで涼めるわけだが。
「航ぅ」
「海己、こっち来いよ」
後ろからおずおずした声、振り返らなくともだれだかわかる。
「うん」
少し間をあけて海己は隣に座る。
「もっとこっち来いって」
「・・うん」
ようやく二人の間にすきまはなくなった。
「下、大変だったろ。ごくろうさん」
「そんなことないよ、たのしいよ。みんな、料理美味しいって食べてくれるし」
「うまいもんをうまいというのは当たり前だ」
「ありがとう、航」
顔を真っ赤にしながら俺の肩に頭をのせる、この重みもあと少しで感じれなくなると思うとがらにもなく切なくなる。
「そうだ、海己、これやるよ」
「あれ?プレゼントはさっきもらったよ」
たしかにみんなでプレゼントを交換した、けど・・・。
「さっきはさっき、これはこれ、いいから開けてみ」
「うん・・・・あれ?これ・・・指輪?」
「おう、安物で悪いけどな、一応、その・・・婚約指輪」
「・・・・・ええーーー!」
「それぐらい驚いおどろいてもらわんと、そんなのでも貯金とバイト代全部使ったんだから」
「でもこれ、いいの?」
「良いも悪いもいらないならすてちまうぞ」
「・・・ありがとう・・・」
「もう少ししたら今までみたいに会えなくなるからな、それは俺のものってしるし」
「うん、私は航のものだよ」
海己の肩を抱き寄せる。満点の星空が見下ろしている、ずっと続いてほしい時間、あたりは水を打ったように静かで、静かで・・・?
「やるわねー航もー」
「わたしも彼氏ほーしーいー」
「サエ、うるさい」
「あのー、先輩達にばれないでしょうか?」
「大丈夫だって、航ってけっこうにぶいし」
階段からいつもの野次馬の声がする。
「おーま−えーらー」
「キャー、気付きましたよ!」
「違うの、これは会長さんが・・・っていないし!」
「ナオコならさっき逃げたよ」
海己は顔を真っ赤にしながら口をパクパクさせて固まっている。
「さっさと散れーーー!」
こんな平穏のないいつもの光景もあと少し、こんな騒がしい思い出も良いかもしれない、けど・・・。
「もう少しそっとしといてくれ・・・」





作者コメント

いかがだったでしょうか、初めて小説というものを書いたので稚拙なところも多々あると思いますが楽しんで頂けたら幸いです。航と海己にはこれから険しい道が待っていると思います、けど、この二人ならばきっと幸せにたどり着くことができると信じています。最後に、この二人に永遠の幸せを・・・。

Written by 石善