「この間はわたしが遊びに行ったんだから、たまにはあんたたちが遊びにきなさい」
「いやでも、俺は仕事が……」
始まりは、師匠からの横暴極まりない電話。
「じゃあ先輩、向こうで待ってますね」
「ああ。俺も一週間ぐらいしたら行くから」
「士郎が来るまでのことは任せて下さい」
「うん、頼んだ」
一足先に旅立つ二人を見送って、衛宮士郎は久しぶりに一人暮らしを味わう事になる。
誰もいない我が家に戻り、扉を開けて。
「ただいま」
誰もいない家の中に帰りを告げる言葉を投げかけた時。
「おかえり、シロウ」
在り得ない答えが返ってきた。
それは幻聴などではなく。
それは聞き間違えなどではなく。
そう。例え幾年経とうとも、例え何処にいようとも、エミヤシロウがその声を忘れるわけが無い。
いくら思い出を捨てようと決意したとしても捨てきることなど出来ない、その声の持ち主は。
居て欲しいと思った、でも居るわけがないと信じた、士郎がが思い描いたその人物がそこにいた。
「セイ……?」
「なんですかシロウ、私に何か不満でも?」
「いや不満って言うか」
その鎧は真っ黒だったが。
「シロウ、飯」
おまけにちょっとガラ悪かったが。
それは士郎とセイバーの。
エミヤシロウと黒いセイバーとの、どこか見慣れたような、でもどこか少し奇妙な生活の始まりだった。
新連載
「黒セイバーとの平穏な日常」
誰も彼もが幸せになるべきである。
満を持して今冬公開!
多分!(ぇー
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